ネガティブ懸垂は本当に意味がないのかな?
ネガティブ懸垂と検索をすると出てくるように、「ネガティブ懸垂は意味がない」という声を聞いたことはありませんか?
実は、正しい方法で行えば、ネガティブ懸垂は非常に効果的な筋トレ方法なのです。
この記事では、ネガティブ懸垂の意味、やり方、効果、そして理想的な回数について徹底的に解説します。
ネガティブ懸垂が本当に意味があるのか、どのように取り入れれば効果的なのかを、私の実体験も交えてお伝えしていきます。
ネガティブ懸垂とは
ネガティブ懸垂は、ネガティブ局面(体を下ろす動作)に焦点を当てた懸垂運動の一種です。
通常の懸垂では、引き上げる動作と下ろす動作の両方を行いますが、ネガティブ懸垂では主に下ろす動作に注目します。
具体的には、台や踏み台を使って懸垂バーにぶら下がった状態から始め、できるだけゆっくりと身体を下ろしていく運動です。この下ろす動作中に筋肉に大きな負荷がかかり、筋肉の成長や強化を促進します。
ネガティブ懸垂の特徴
- 主に懸垂の下ろす動作に焦点を当てる
- 通常の懸垂よりも長い時間筋肉に負荷をかけられる
- 上半身の筋力が不足している人でも取り組みやすい
ネガティブ懸垂は、このような3つの特徴があります。
上半身の筋力が不足して「懸垂が1回も出来ない」という人でも取り組めるという点は、ネガティブ懸垂の大きなメリットでしょう。
ネガティブ懸垂と通常の懸垂の違い
比較項目 | 通常の懸垂 | ネガティブ懸垂 |
動作 | 上下運動を行う | 下降動作のみ |
負荷のバランス | バランス良く負荷がかかる | 下降時のみ負荷がかかる |
難易度 | 難しい | 簡単 |
筋力向上の効果 | 効果あり | 効果あり |
筋肥大の効果 | 効果あり | 効果あり |
回復時間 | 早い | 遅い |
種類の多様性 | 多い | 少ない |
関節への負荷 | 大きい | 小さい |
ネガティブ懸垂と通常の懸垂は、どちらも上半身の筋力トレーニングとして効果的ですが、いくつかの重要な違いがあります。
後で詳しく解説している項目もありますが、ネガティブ懸垂と通常の懸垂の違いを理解しておきましょう。
ネガティブ懸垂で覚えてほしい言葉
この記事では、ネガティブ懸垂の意味や効果などを解説していますが、記事を読み進める上で必ず覚えておいてほしい言葉があります。
その言葉は「エキセントリック運動」です。エキセントリック運動とは、筋肉が伸びながら力を発揮する運動のことです。
つまり、ネガティブ懸垂はエキセントリック運動に該当するということです。
記事を読み進めると「エキセントリック運動」という言葉がよく出てくるので、その意味を覚えておいてください。
ネガティブ懸垂は本当に意味がないのか?
「ネガティブ懸垂は意味がない」という意見を耳にすることがありますが、これは大きな誤解です。
実際のところ、ネガティブ懸垂は非常に効果的な筋トレ方法であり、多くのメリットがあります。
ネガティブ懸垂が意味がある理由は、
- 筋肥大の促進
- 筋力向上
- 筋持久力の向上
- 握力の向上
- 基礎代謝の向上
- 神経筋連携の改善
- 懸垂初心者でも取り組みやすい
- 懸垂より関節への負担が少ない
- 姿勢の改善
- メンタル面での効果
この10個の理由が挙げられます。ネガティブ懸垂に意味がある理由を詳しく解説していきます。
①筋肥大の促進
エキセントリック運動(筋肉が伸びながら力を発揮する運動)は、筋肉の微細損傷を引き起こし、修復過程で筋肉の成長を促進します。
ネガティブ懸垂は、この効果を最大限に活用できる運動方法です。
特に、広背筋、上腕二頭筋、僧帽筋などの上半身の主要な筋肉群に効果的です。
②筋力向上
ネガティブ懸垂のようなエキセントリック運動は、筋力向上に効果的であることが示されています。
ネガティブ懸垂を定期的に行うことで、上半身の筋力(特に広背筋)を効果的に向上させることができます。
エキセントリック運動中、筋肉は通常よりも大きな力を発揮することができ、これが筋力の向上につながります。
(参考:Higbie et al. J Appl Physiol 1996.)
③筋持久力の向上
ネガティブ懸垂でゆっくりと身体を下ろす動作を繰り返すことで、筋力だけでなく筋持久力も向上します。
筋持久力を向上させると、骨量アップや関節の柔軟性向上などのメリットがあります。
④握力の向上
ネガティブ懸垂はバーを握る時間が長いため、前腕の筋力と握力が向上します。
握力が向上すると、他の筋力トレーニングや、野球やテニスなどの握力が大切なスポーツにも良い影響を与えます。
⑤基礎代謝の向上
ネガティブ懸垂によって筋肉量が増えると、基礎代謝を向上させます。
つまり、ネガティブ懸垂を含む筋トレは、長期的に見ると体脂肪の減少にも効果があると言えます。
痩せやすい体になりたい人は、ネガティブ懸垂をする意味があると言えます。
⑥神経筋連携の改善
ネガティブ懸垂でゆっくりとした制御された動きを行うことで、脳と筋肉の連携(神経筋連携)が改善されます。
体をどう動かせばどこの筋肉を使うのかが分かるようになるということです。
これにより、他の運動やスポーツのパフォーマンス向上にもつながる可能性があります。
⑦懸垂初心者でも取り組みやすい
通常の懸垂が難しい人でも、ネガティブ懸垂なら取り組みやすいです。
懸垂が出来ない人は、体が持ち上がらないから懸垂が出来ないだけなので、ネガティブ懸垂なら誰でも出来るはずです。
ネガティブ懸垂で徐々に筋力をつけながら、最終的には通常の懸垂ができるようになる可能性が高まります。
⑧懸垂より関節への負担が少ない
懸垂では、体を持ち上げる動作の方が怪我のリスクが高いです。
ネガティブ懸垂では体を持ち上げる動作がないため、肘や肩の関節への負担が比較的少ないです。
怪我のリスクを軽減しながら効果的なトレーニングが出来る点も、ネガティブ懸垂のメリットの1つですね。
⑨姿勢の改善
ネガティブ懸垂で背中と肩周りの筋肉を強化することで、姿勢の改善にも効果があります。
特にデスクワークが多い人、スマホをよく見る人にとっては、猫背の改善に役立つ可能性があります。
⑩メンタル面での効果
ネガティブ懸垂ができるようになると、自信や達成感が得られます。
もし懸垂があまり出来なくても、ネガティブ懸垂によって自信と筋力を付けることで、通常の懸垂がたくさん出来るようになると期待できます。
ネガティブ懸垂のデメリット
先ほど解説したように、ネガティブ懸垂には多くのメリットがあるため、やる意味はあると思います。
しかし、ネガティブ懸垂にも下のようなデメリットがあります。
- 筋肉痛のリスクが高い
- 筋力バランスが偏る
- グリップ補助アイテムが必要
ここからは、ネガティブ懸垂のデメリットについて解説していきます。
①筋肉痛のリスクが高い
エキセントリック運動は効果が高い分、筋肉痛を引き起こしやすいという特徴があります。
ネガティブ懸垂は通常の懸垂よりもエキセントリック運動の強度が高くなるため、特に懸垂初心者は注意が必要です。
オーバーワークにならないためにも、後で解説する理想的な回数を守ってネガティブ懸垂をしましょう。
②筋力バランスが偏る
通常の懸垂と異なり、ネガティブ懸垂には引き上げる動作がないため、筋力バランスが偏る可能性があります。
この点も後で詳しく解説しますが、ネガティブ懸垂だけでなく通常の懸垂(できない人はラットプルダウン)もバランス良く行いましょう。
③グリップ補助アイテムが必要
ネガティブ懸垂は懸垂バーを握っている時間が長いため、
このような問題が生じる可能性が非常に高いです。
ネガティブ懸垂をする際は、パワーグリップなどのグリップ補助アイテムを使うようにしましょう。
私が使っているグリップ補助アイテム
私がネガティブ懸垂をする時は、パワーグリップというグリップ補助具を使用しています。
ネガティブ懸垂で生じる痛みや握力不足への対策になるので、非常にオススメです。
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ネガティブ懸垂の効果的な取り入れ方
ここまでで解説したように、ネガティブ懸垂にはメリットもデメリットもあります。
私の個人的な意見としては、ネガティブ懸垂にはメリットの方が多いので、懸垂の1種として取り入れた方が良いと考えています。
ここからは、ネガティブ懸垂のデメリットを解消できる、ネガティブ懸垂の効果的な取り入れ方について解説していきます。
限界まで懸垂をした後にネガティブ懸垂を2回する
- 限界まで通常の懸垂をする(回数不問)
- 体力的にしんどすぎる場合は2〜3秒の休憩する
- ネガティブ懸垂をする(2回)
- 休憩を挟みつつ①〜③を3セット繰り返す
これは、実際に私が懸垂の回数が伸びない時に回数を劇的に伸ばした方法です。
【関連記事】私が懸垂の回数が伸びない時に回数を劇的に伸ばした方法を教えます!
このネガティブ懸垂をする時のコツは、体を下ろす速度を限界まで遅くすること。通常の懸垂で既に限界を迎えていてしんどいのは分かりますが、どこまで耐えられるかで広背筋への効果が変わります。
ネガティブ懸垂は通常の懸垂よりも難易度が簡単で怪我のリスクが少ないので、限界を迎えたらネガティブ懸垂に切り替えることは理にかなっています。
1番キツイ懸垂方法ではありますが、私が1番効果があった方法でもあるので、ぜひ皆さんもチャレンジしてみて下さい。
週に1回だけネガティブ懸垂をする
週に1〜2回は通常の懸垂をして、週に1回はネガティブ懸垂をするという取り入れ方もオススメです。
1週間に1回だけ、ネガティブ懸垂だけをする日を設けることで、エキセントリック運動に重点を置いて鍛えることが出来ます。
通常の懸垂で早く体を下ろしてしまう傾向がある人は、この取り入れ方をオススメします。
ネガティブ懸垂のやり方
ネガティブ懸垂を正しく行うことで、最大の効果を得ることができます。
ここからは、ネガティブ懸垂の基本的なやり方を解説します。
やり方①:事前準備
懸垂マシンやパワーラックに付いている懸垂バーなど、懸垂ができる場所を見つけます。
懸垂バーの下に、フラットベンチのような安定した台や踏み台を置きます。
踏み台に乗った時に、自分の顎の位置が懸垂バーより高くなっていることが理想です。
やり方②:懸垂バーを握る
台や踏み台に乗り、懸垂バーをしっかりと握ります。
手のひらが自分の方を向くようにバーを順手で握ります。
【関連記事】懸垂は順手と逆手どっちが良い?効果や筋肉の付き方の違いを解説します
この時に親指は握り込まずに、懸垂バーに引っ掛けるようにしましょう。上の画像の「NG例」と「OK例」を参考にしてください。
やり方③:台から足を浮かせる
足を台から離し、体を浮かせます。この時に、膝を曲げて体の後ろ側で足を組むと背中に効きやすくなります。
体を浮かせた時に、肩甲骨を内側に寄せて胸を張り、広背筋を使えていることを確認してください。
やり方④:体をゆっくり下ろす
ゆっくりと、できるだけ時間をかけて身体を下ろします。目安として、10秒以上かけて下降するのが理想的です。
ゆっくり下降している際に、広背筋が伸びている感覚があればOKです。
この時に、呼吸を止めないよう注意しましょう。下降中はゆっくりと息を吐くのがおすすめです。
やり方⑤:台に足を乗せる
完全に腕を伸ばした状態になったら、足を台に戻します。あとは③〜⑤を繰り返すだけになります。
もしネガティブ懸垂中に肩や肘に違和感や痛みを感じたら、すぐに中止してください。
ネガティブ懸垂の理想的な回数
ネガティブ懸垂の理想的な回数は、個人の体力レベルや目標によって異なります。
ここでは、様々なレベルと目的に応じたオススメの回数について解説します。
懸垂初心者の推奨回数
- 1セット:2〜3回
- 1日あたり:2〜3セット
- 1週間あたり:2〜3日
ネガティブ懸垂初心者の方は、2〜3回の懸垂を2〜3セット行うことをオススメします。
初心者の方は、まず正しいフォームを身につけることが重要です。最初は少ない回数から始め、徐々に回数を増やしていきましょう。
広背筋の筋肥大のために、多くても1週間で2〜3回の目安でネガティブ懸垂初心者を行いましょう。
懸垂中級者の推奨回数
- 1セット:4〜6回
- 1日あたり:3〜4セット
- 1週間あたり:2〜3日
ネガティブ懸垂中級者は、4〜6回の懸垂を3〜4セット行うことをオススメします。
もし1セットあたりの回数を増やせそうであれば、どんどん回数を増やしていきましょう。懸垂の回数は、平均回数を目安に目標を決めることをオススメします。
【関連記事】懸垂は何回できたらすごい?10回や20回ですごいと言えるのか?
懸垂上級者の推奨回数
- 1セット:8〜12回
- 1日あたり:4〜5セット
- 1週間あたり:2〜3日
ネガティブ懸垂上級者は、8〜12回の懸垂を4〜5セット行うことをオススメします。
上級者は1セットあたり12回以上できる人も多いと思いますが、筋肥大を目的とするなら回数が多すぎても良くありません。
1回1回の下降時間を伸ばしたりウエイトを追加したりするなど、懸垂の回数以外の方法で負荷を強めるようにしましょう。
まとめ
この記事では、ネガティブ懸垂の必要性や効果、理想的なやり方や回数について解説しました。
ネガティブ懸垂は意味がないという意見もありますが、ネガティブ懸垂を正しく行うことで下のようなメリットもあります。
- 筋肥大の促進
- 筋力向上
- 筋持久力の向上
- 握力の向上
- 基礎代謝の向上
- 神経筋連携の改善
- 懸垂初心者でも取り組みやすい
- 懸垂より関節への負担が少ない
- 姿勢の改善
- メンタル面での効果
私は、ネガティブ懸垂をトレーニングの一部に取り入れることで、懸垂の回数が大幅に伸びました。
ネガティブ懸垂をトレーニングに正しく取り入れて、筋トレの成果を向上させましょう。
手を痛めないために、ネガティブ懸垂をするときは必ずパワーグリップを使うようにしましょう。
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